まん丸モフモフで見ていてとっても癒されるハムスター。寄り添い合って寝ている姿なんかはたまらなく可愛いですよね。
でも実は、そんな可愛らしい外見とは違って、共食いすることでも知られている生き物です。
「あんなに可愛いのになぜ共食いなんて残酷なことをするの?!」と驚いている方も多いかもしれません。
人間にとっては信じられないことですが、それにはそれで、ハムスターなりの理由があるのです。
今回はなぜハムスターが共食い・子食いをするのか、どうすればそれを防げるのか、徹底的にお伝えします!
そもそも「共食い・子食い」って何?
なんだか人間が聞くとぞっとする言葉ですが、そもそも「共食い」とはどんな状態を指すのでしょう。
それは、ある生き物が自分と同じ分類に属する他の個体を食べてしまうことです。
虫などの世界では良く知られているかと思いますが、カマキリなんかは交尾後にメスがオスを食べてしまいますよね。
もちろん虫だけではなく、ほ乳類などの生き物でも、死んでしまった個体を仲間ではなく食料と認識し、食べてしまうことがあります。
その中でも、母親が自分の子供を食べてしまうことを「子食い」と言います。
自分でお腹を痛めて産んだ子を食べるなんてと思いますが、この驚くべき行為はハムスターにも起きます。
残念ながら、ハムスターは共食い・子食いをする生き物なのです。
ではなぜあんなに可愛いハムスターが共食い・子食いをするのか、それぞれに分けて見ていきましょう。
ハムスターの「共食い」について
生まれたハムスターの赤ちゃんが大きくなってきても同じケージで飼っていたり、大人のハムスターを同じケージに入れたりして飼育していると、ケンカするようになります。
それを放ってくと、共食いという悲惨な状況になることがあります。
それには、ハムスターのある習性が大きく関係しているのです。
なぜ共食いするの?
ハムスターが共食いをしてしまう大きな要因となっているのが「縄張り意識の強さ」です。
野生のハムスターは基本的に一匹で生活しています。
そして、自分の縄張りを守り、敵などに食べられないようにして注意深く生きています。
野生化では、自分の縄張りに他のハムスターが入ってきても、ケンカにはなりますがどちらかが負けて引き下がり逃げていきます。
その時点で命を失うほど戦うことはほとんどありません。
しかし、飼育下にあるハムスターは囲われたケージの中で生活しているため、縄張り争いでケンカをしてどちらかが負けても、弱い方がどこか遠くの縄張りの外に逃げていくことができないのです。
そのため、強い方のハムスターの攻撃は続き、弱い方が命を落とすまで戦いが続いてしまうのです。
こうして弱い方が命を落とすと、強い方のハムスターは、死んだハムスターをさっき戦っていた別のハムスター、などという認識ができず、食料と認識して食べてしまいます。
つまり、ハムスターは積極的に共食いをしているわけではない、ということですね。
飼育下の場合、縄張り争いの末、たまたま起こってしまっているというわけなのです。
ペットショップでは何匹も一緒のケージだけど大丈夫?
ところで、ペットショップではよく複数匹同じケージで展示されていることがありますね。
あれは大丈夫なのか心配になるところですが、ペットショップで販売されているハムスターの場合、多くはまだ子供なので、縄張り意識も強くなくケンカすることがないのです。
どうしてもケンカしてしまう場合も、ペットショップの店員さんが適宜判断して別ケージにするなどしているはずですから、大丈夫なんですよ。
カップルでもずっと一緒はダメ
お見合いと繁殖行動をしたカップルのハムスターでも、ずっと同じケージに入れていてはケンカを始めます。
その末に共食いになってしまうこともあります。繁殖後はケージを別にするのが良いでしょう。
ロボロフスキーハムスターの場合
多頭飼いがしやすいと言われるロボロフスキーハムスターですが、それでも飼育環境に気を付けないとケンカすることがあります。
ケージの広さや隠れる場所があるかどうか、床材などがたっぷりと入っていて自分のテリトリーを作りやすくなっているか、などが大切になってきます。
多頭飼いしたい場合は、それらの点に気を付けましょう。飼育環境を整えてもケンカしてしまう場合は、やはりロボロフスキーでもケージを分けた方が良いでしょう。
ハムスターの「子食い」について
ハムスターが赤ちゃんを産んだけど、気付くと母ハムが赤ちゃんの中の一匹を食べていた!なんという衝撃的なことが起こるのも、少なくないようです。
なぜせっかく産んだ自分の子孫を食べてしまうのか、人間からしたら理解できない領域かもしれませんが、それもハムスターなりの理由があります。
なぜ子食いするの?
ハムスターの子食いに関しては、5つほどの理由に分けられます。
赤ちゃんハムに人間のニオイがついてしまった
出産直後の母ハムはとても神経が立っています。
赤ちゃんに人間の匂いなどが付いてしまうと、普段よりも敏感に匂いに反応し、赤ちゃんを自分の仲間と認識できなくなって、食べてしまうことがあるのです。
可愛いからと、赤ちゃんハムを触るのはやってはいけないことです。
ストレスが溜まっている
妊娠中や出産直後のハムスターは、より周りの状態に敏感になり、ストレスをためやすくなっていると言えます。
妊娠中や赤ちゃんの様子が気になるからと、むやみにケージをいじったりのぞいたりすると、想像以上に母ハムのストレスになっていることがあるのです。
母ハムにとって育児のしづらい環境だと認識させてしまうと、育児ができないと考え、子食いに発展しまうことがあります。
栄養が足りていない
育児中の母ハムは授乳のためたくさんの栄養が必要ですが、栄養が不足するとたくさんの赤ちゃんハムを育てるため、その中の赤ちゃんを食べて栄養補給します。
そうして、残った赤ちゃんが栄養不足にならないように、本能的に行動しているのです。
障害のある子だった
赤ちゃんハムに何かしらの障害があったり、体が弱かったりしても、母ハムは育てられないと認識し、本能的に食べてしまうことがあります。
これは飼い主さんが気を付けていても、起きてしまう可能性があります。
父ハムは自分の子供と認識できない
父ハムは、生まれた赤ちゃんが自分の子供だとは認識できません。
なので出産後も同じケージに入れたりしていると、敵などとみなし攻撃して食べてしまう、ということが起こるのです。
共食い・子食いの防止策
では、ハムスターの共食い・子食いという悲惨な状況を回避するために、どんなことが重要なのでしょうか。以下に見ていきましょう。
基本的に多頭飼いはダメ!
上でも書きましたが、ハムスターは縄張り意識の強い生き物です。
逃げ場のないケージという場所に複数匹入れて飼ってしまうと、ケンカを始めそれが共食いに発展してしまいます。
多頭飼いは避け、ペットショップなどから迎え入れたハムスターもそうですが、自宅で生まれた赤ちゃんハムが大きくなってきたら、一匹一匹別々のケージで飼育してあげましょう。
生後1ヶ月ほどで独り立ちをするので、その時期を目安にケージを分けてあげると良いですね。
ストレスのない環境で
子食いには、母ハムのストレスが大きく関わっています。
妊娠中・出産後は母ハムにストレスを溜めないよう、あまり干渉せず、お散歩なども控えた方がよいですね。
餌はたっぷりと
子食いの原因に栄養不足をあげました。
栄養が不足すると子育てのため、一部の赤ちゃんハムを犠牲にして栄養補給してしまうので、そうならないよう、エサは十分過ぎるほど入れてあげましょう。
栄養バランスも大事なので、高カロリー、高たんぱく、高脂肪のエサを用意してあげると良いですね。
ミルワームあげるのもグッド!
そのためのエサとしては、ミルワームがおススメです。ミルワームは動物性たんぱく質を多く含むので、産後・育児中には適しています。
生きていない乾燥タイプなどもありますので、抵抗のある飼い主さんも、産後の母ハムのためにトライしてみてはいかがでしょう。
ケージの置き場所を再検討する
特に育児中は、静かな場所にケージを置いてあげることが大事です。
母ハムにストレスが溜まらないよう、直射日光が当たらず風通しの良い、騒音のない場所に置いてあげましょう。
温度差なども気にしてあげ、適温を保ちやすい場所にしましょう。
水槽ケージだとなお良し!
騒音や匂いの影響をより軽減したいなら、水槽ケージがおススメです。
金網やプラスチック製のケージよりも、周りの音や匂いが伝わりにくくなっています。
金網の隙間から赤ちゃんが出てしまうことも防げます。
ハムスターが妊娠したら、ケージを水槽系のものに変えてあげても良いですね。
赤ちゃんハムにはなるべく触らない
赤ちゃんハムに人間の匂いが付いてしまうことも、子食いの原因と書きました。
離乳前の赤ちゃんハムには触らないのが一番ですので、可愛いからと直接触れたりしないようにしましょう。
どうしてもの時は手袋を
また、赤ちゃんハムが巣箱から出てきてしまって母ハムも気付いていない時など、どうしても赤ちゃんに触れて、巣箱に戻してあげないといけない時もありますね。
そんな時は、ビニール手袋などをして、直接赤ちゃんハムに触れないようにしましょう。
割りばしなどの先にティッシュを巻いて、それを使って優しく赤ちゃんを移動させるのも良いでしょう。
離乳期を迎えるまであまり掃除はしない
子食いを防ぐ上で大切なのが、掃除はあまりしないことです。
掃除しないと汚い、と思うかもしれませんが、産後の敏感な母ハムには、床材が変わったり掃除でガサガサされたりするのはストレスになります。
赤ちゃんハムが離乳期を迎えるまではなるべくそっとしておき、エサの補充や水の取り換え、トイレの掃除くらいにとどめておきましょう。
繁殖が終わったら母ハムと父ハムは分ける
先ほども書きましたが、カップルでもハムスターを一緒のケージにはできません。
オスとメスでもケンカを始めますし、産後も母ハムと父ハムを同じケージに入れておくと、それが母ハムのストレスとなって子食いや育児放棄にもなります。
父ハムも赤ちゃんハムを自分の子供とは認識できずに食べてしまいます。
なので、繁殖が終わったら、必ずケージは分けましょう。
まとめ
今回は共食いと子食いについてお伝えしました。
衝撃的なこの二つの言葉ですが、残念ながらハムスター界では起こりうることなのです。
しかし飼育下のハムスターでは、お伝えしてきた防止策でほとんどを防ぐことができます。
可愛いハムちゃんたちに悲惨なことが起こらないよう、正しい知識で飼育していってあげてくださいね。