ハムスターを飼っている人ならば、「疑似冬眠」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
疑似冬眠は、野生動物の冬眠とは違って、とても危険な状態です。
疑似冬眠に入ってしまったハムスターは、冬眠から覚めず、そのまま亡くなってしまうことも多いからです。
これから季節は冬本番。飼っているハムスターを疑似冬眠させないために、温度管理の方法や防寒の方法をしっかり覚えておきましょう。
目次
疑似冬眠と冬眠の違いは?疑似冬眠は危険?
まず勘違いしてはいけないのは、「疑似冬眠」は「冬眠」ではないと言うことです。
熊や蛇など冬眠することが知られている動物は、体の代謝を下げ、体力やエネルギーの使用をできる限り抑えることで寒い冬を乗り越えます。
これは野生動物の、冬を生き抜くために得た生き残りの手段です。
冬眠と言うのは野生動物の手段であって、飼っている動物であれば、まず起こらないと言われています。
ハムスターの場合も同様で、飼育環境によっては寒さから冬眠状態であるような様子が見られることがありますが、これは冬眠ではなく「低体温症」による症状であると考えられています。
疑似冬眠をしてしまうと、自然に目覚めるということは難しく、その時間が長ければ長いほど死に直結してしまいます。
その傾向はゴールデンなどの大型ハムスターに比べて、ジャンガリアンなどの小型ハムスターになるほど顕著です。
ハムスターにとって大変危険な疑似冬眠を、まずは起こさない飼育環境を整えることが大事です。
そして、疑似冬眠に入ってしまったならば、そのことにいち早く気づき、目覚めの手助けをしてあげることが重要です。
ハムスターを疑似冬眠させないための温度と最適な室温とは?
気温が何度になるとハムスターは疑似冬眠する?
疑似冬眠や休眠状態になる気温は、大型、小型のハムスターによっても違ってきます。
ゴールデンなどの大型ハムスターでは、10℃以下、ジャンガリアンなどの小型ハムスターでは、5℃以下になると疑似冬眠すると言われています。
また、ハムスターの疑似冬眠には気温以外にも日照時間も関係していると言われています。
ハムスターは夜行性ですが、日の当たらない場所にずっと置かれていると昼夜の区別がつかなくなり、自律神経を乱すことがあります。
こういったことも一つの原因となり、疑似冬眠を引き起こします。
できれば1日2時間ほどは日の光を感じられる場所に置いてあげましょう。ただし、直射日光の当たる場所は避けて下さいね。
ハムスターにとっての快適な気温とは?
ハムスターが快適に過ごすためには、20℃~25℃前後の室温が必要になります。
そのため寒い地域などでは朝晩の気温差を考えると、9月下旬くらいから温度管理には注意が必要になってきますよ。
防寒対策や気温管理の具体的な方法については後ほど詳しくまとめていますので、そちらを参考にしてくださいね。
ハムスターは疑似冬眠するとどうなる?
疑似冬眠とは、別の言い方をすると「低体温症」という状態です。気温が下がり、寒さに耐えきれなくなったハムスターは体温、呼吸、心拍といった生命を維持するのに必要な動作を最低限に抑え、なんとか生きようとします。
この状態が疑似冬眠であり、ぱっと見は眠っているかのように見えるでしょう。
しかしこの状態のハムスターに触れてみると、いつもより冷たく感じられ、何より全く動かないので死んでしまったと勘違いする人も多いはずです。
しかし実際には低体温症により、いつもの通りの活動ができなくなってしまっている状態なので、気づいた時点で素早く体を温めてあげるなど、適切な処置をする必要があります。
この状態が長ければ長いほど、そのまま死に至ることとなってしまいます。
ハムスターのためにできる防寒対策とは?
ハムスターが快適に過ごすことができるのは、20~25℃前後であることは先ほど記述した通りです。
できれば毎日この気温を保ってあげたいところですが、そのためには通年中エアコンを使用する以外に方法はないかも知れませんね。
しかし、ハムスターのためだけにエアコンを毎日点けっぱなしというのも、家庭によっては困難な場合があるでしょう。
そこでここでは、少しでもハムスターのため温かい環境を整えるために、様々な防寒対策についてまとめてみました。ぜひできることから実践してあげて下さいね。
家の中でも寒い場所にケージを置かない
ハムスターの寒さ対策の基本です。
夏は涼しいところ、冬は暖かいところに飼育環境を移してあげる必要があります。
冬ならば、隙間風が入るところや窓やドアの近くは冷気が伝わりやすいので避けましょう。
また、できれば床から少し高い位置に移してあげた方がより安心です。
床材、巣材を多めに入れてあげる
床材や巣材がたくさんケージ内に入っていれば、その中にもぐって寒さをしのぐことができますね。
冬場はハムスターが埋もれてしまって見えないくらいの床材、巣材を入れてあげましょう。
断熱材を利用する
特に金網タイプのケージを利用している場合には、風が直接通り抜けてしまうので寒さも増します。
ケージをプラスチックのものやガラスのものに変えるのも手ですが、断熱材を利用してケージ内全体の保温性を高めてあげるのも良いでしょう。
例えば段ボールや発泡スチロールの箱をケージ全体にかぶせてあげると、風も通しませんしある程度の保温性も保てます。
もし利用する場合には、ハムスターが金網を上ってかじってしまわないように、ケージよりも少し大きめのものを用意する必要がありますね。
また、観察用や呼吸用として、小さな穴をいくつか開けておくと良いでしょう。
段ボールや発泡スチロールのほかにも、アルミのシートやコルクマットなどを利用しても良いのではないでしょうか。
ペット用ヒーターを利用する
ハムスターの防寒対策用品として、ペットショップには様々な商品が売られていますよ。
その中でも小動物、爬虫類用のペットヒーターは自動で温度管理をしてくれて、ケージ周辺を一定温度に保ってくれるのでとても便利です。
3千円前後で購入でき、電気代も月に100円程度で使用できるということです。
ハムスター専用のヒーターを利用する
ハムスターの寒さ対策グッズとして、ハムスター専用のヒーターも売られていますよ。
こちらはケージ内に直接入れて使用するタイプで、ヒーターに乗っていればハムスターが暖をとれるようになっています。
コードもかじっても大丈夫なような工夫がされているので、配線に問題がない飼育環境であれば十分ハムスターに温かい環境を提供できます。
カイロや湯たんぽを使う
ハムスターの防寒グッズとして、人間用のカイロを入れてケージ内で使用できるカイロケースが売られています。
病院に連れて行くなど、外出時に重宝しそうですね。
また、とても小さな湯たんぽも売られているので、こちらも一時的に温めてあげるには効果的ですね。
どちらも熱い部分がハムスターに直接触れないよう、気を付けて使用しましょう。
電気カーペットを利用する
断熱材と併用して、下から電気カーペットで温めてあげるのも有効です。
ただし、ケージ内の温度が上がりすぎないように注意する必要があります。
そのためには、ハムスターが暖かい場所と涼しい場所を自分で行き来できるように、ケージの半分だけをカーペット乗せるなどの工夫が必要ですよ。
人間用の暖房器具を使う
電気ストーブやファンヒータなど、人間が冬に使用する暖房器具をハムスター用に使用することもできます。
ただし、電気や火を使うものは人が居ない時に使用するのは危険なので、注意が必要ですね。
また、こういった暖房器具は熱源からケージまでの距離が近いと、熱くなりすぎることもあります。
適度な距離で使用すること、人が不在の時には使用しないことが大事ですね。
まとめ
ハムスターを疑似冬眠させないためには、気温の管理を徹底してあげるしかありません。
真冬は室内であっても、地域によっては5℃を切ることがあるでしょう。
できるだけ気温差が少なくなるよう、飼育環境を整えてあげて下さい。
ハムスターの防寒対策として紹介した方法は、一つのみを実践するのではなく、それぞれの環境や予算に応じて臨機応変に組み合わせてみて下さいね。